日々音感

楽器練習・レッスンのメモ、アドリブ、音楽理論_音階・和声・旋法、絶対音感・相対音感、移動ド唱法・固定ド唱法、ソルフェージュなど徒然に。Sax, Flute, Clarinet, compose, arrangement

短調でも主音はド、バークリー的 階名唱法の謎を解く

「バークレイ式?」
階名唱法(ソルミゼイション)の1スタイルをそう呼ぶのを見かける。
先ず「バークリー」ですよ。
学長の名前が Eriot Lee Bark さんだったから。
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短調でも主音をドと呼ぶ」
これについて「そう習ったからそうなのだ」って説明を見かける。
大切なのは「何故そうなのか」「如何に使うか」かと。
 
この手の12音式階名唱法はハンガリーコダーイ先生がルーツかと。
その後色んな人が色んな読み仮名を提唱してきた。
その内の1つでしかないしバークリーの発明でもないはず。
とはいえ、ドレミ…の元々の姿を極力とどめてる点で秀逸と思う。
 
短調でも…は確かに特徴的。
何故そうなのか。
発端はブルーズと理解してます。
 
ブルーズ系の音楽家、とくにギタリストと話すと
「キーはなに?」「G!」
「え?メイジャー?マイナー?」「Gだってばよ!」
って会話はありがち。
 
なぜかと言えば、
メイジャーもマイナーも観点には無く「G」だからだ。
そこに見えるのは「主音はG」で、そこを中心に、西洋の機能和声的価値観で言えばメイジャーとマイナーを旋律も和声も「行き来する」って世界だから。
 
ジャズでは、アドリブの素材とする楽曲がメイジャーであろうが、ブルーズのスイッチが入った途端に、ブルーズの世界の流儀で事が進む。
そこでは、メイジャー・マイナーいずれであっても「主音はド」とすると煩雑を避けられます。
 
モードの時代になると様々な旋法を行き来するわけで、中にはメイジャーともマイナーとも特定しにくい音階もある。
そうすると尚更に「主音はド」方式が有用となる。
 
そういった必要の基に「短調でも主音はド」は成り立ったと思われる。
 
なので、シンプルな機能和声的音楽(=長調あるいは短調のいずれかを明瞭に特定できる)の場合は「短調の主音はラ」方式を選んでもいいわけ。使う人がそれを便利と思う限り。
ただし、あの学校では、それだと不便だからソルフェージュの授業では「主音はとにかくド」と言ってたのだろうな。
 
何故なら「使い分け」を理解させるには、学生達に
・機能和声的
・旋法的
の理解をさせねばならないから。
それだと、1年生の最初から理論とソルフェを同時スタートさせるにあたって、理論系の先生に大変な負担を強いるわけで。
アメリカ的合理性なんだろな。